スタッフブログ

みずの矯正歯科

スタッフブログ


見た目だけじゃない!

「どう動かすか」が矯正の核心

 

 

矯正治療と言うと、「歯を綺麗に並べる」「見た目を整える」

という印象が強いと思います。

 

 

歯冠 歯根

 

 

矯正で歯を動かすというのは、

単に歯冠を並べ替える処置ではありません。

歯は歯根を含めて歯槽骨の中で移動します。

 

 

この歯根の動きをどれだけコントロールできるかが

 

  • 仕上がりの精度
  • 噛み合わせの安定
  • 治療後の後戻りのなさ
  • 歯や歯周組織への安全性

 

を左右します。

 

 

つまり、矯正治療の質は

 

「どのように歯を動かすか」

 

によって決まるのです。

 

 

 

その動かし方(力学的メカニズム)に明確な違いがあるのが

 

「ワイヤー矯正」「マウスピース矯正」

 

 

ワイヤー矯正 マウスピース矯正

 

 

今回のブログでは「見た目」や「装着感」ではなく

歯がどう動くのかという医学的視点からその違いを解説していきます。

 

 

 

 

ワイヤー矯正の歴史と信頼性

 

 

ワイヤー矯正は100年以上の歴史があると言われています。

 

19世紀末にアメリカで生まれた「エッジワイズ法」を原型とし、

現在では材料学、力学、生体反応の進歩により、

非常に精度の高い治療法へと進化しています。

 

 

エッジワイズ法

 

 

 

ワイヤー矯正の最大の特徴は、

 

歯の三次元的なコントロール能力です。

 

 

ブラケットとワイヤーを用いることで

 

 

 

傾斜移動

 

 

 

歯体移動

 

 

 

回転

 

 

 

挺出

 

 

 

圧下

 

 

 

トルク

 

 

 

といった動きを、歯冠だけでなく歯根レベルで調整することが可能です。

 

 

この歯根を含めたコントロールは

見た目の改善だけでなく

 

  • 噛み合わせの安定
  • 骨への過剰な負担回避
  • 将来的な歯周トラブル予防

 

にも直結します。

 

 

ワイヤー矯正は、長年にわたる臨床研究とエビデンスの蓄積があり

現在で最も再現性が高く、幅広い症例に対応できる治療法とされています。

 

 

 

Sabour ら(2025) — Finishing Quality in Orthodontics: Aligners vs. Fixed Appliances

概要・内容

  • 固定装置(ワイヤー矯正)は、歯の最終的な仕上がり(finished case quality)のコントロール精度が高いゴールドスタンダードとして評価されています。

  • Clear aligners(クリアアライナー)も軽度〜中等度の不正咬合では一定の質を示すが、抜歯や大きな歯の移動が必要な症例では固定装置の方が優れた制御を示すとの傾向が示されています。

  • 評価には ABO-OGS(American Board of Orthodontics Objective Grading System)、PARインデックス といった客観的評価指標が使われています。

 

 

 

 

マウスピース矯正の登場と進化

 

 

一方、マウスピース矯正は比較的新しい治療法です。

 

1990年代後半にアメリカで開発され、

3Dスキャニング技術とデジタル設計技術の発展により

急速に普及しました。

 

代表的なシステムがインビザラインです。

 

マウスピース矯正では

約0.25㎜ ~0.3㎜ずつ動くように設計されたアライナーを

段階的に交換し、最終的な歯列へと導いていきます。

数十枚重ねて最終的な歯並びを完成させます。

 

 

最大の利点は

 

  • 目立たないこと
  • 食事や歯磨きの時に外せる
  • 日常生活への影響が少ない

 

という点にあります。

 

 

近年ではAI解析や3Dプリント技術の進歩により、

従来よりも高精度な歯の移動が可能になっています。

 

 

ただし、全ての歯の移動においてワイヤー矯正と同等ではないことも

臨床的に明らかになっています。

 

 

 

 

✅ 研究・レビューで指摘される「マウスピース矯正の限界」

  • A comparison of treatment effectiveness between clear aligner and braces(2018, meta-analysis)
    • 結論として「どちらも不正咬合の改善に有効だが、クリアアライナーは咬合接触の充分な再現、歯のトルク制御、拡大後の安定性(保定期間を含む)では固定式矯正に劣る可能性がある」と報告。 PMC

A Systematic Review of Interventions—Does Invisalign work?(2024)

アライナーは「歯の移動」は可能とするが、「歯の回転(特に犬歯・小臼歯など根が太い歯)」「トルク(歯根の角度調整)」「複雑な咬合の再現性」などには限界があると報告。 PMC+1

  • Evaluating Orthodontic Outcomes: Clear Aligners vs Fixed Appliances(2025 review)
  • 軽度から中等度の不正咬合ではアライナーでもまずまずの結果が得られるが、 重度の叢生、抜歯を伴う治療、咬合高さ/回転/トルクを伴う細かな咬合調整 では固定式矯正に優位性があると論じられている。 Kevin O’Brien’s Orthodontic Blog+1

  • また「アライナー群では再調整(refinement)が多く、治療期間が延びる/追加コストがかかる」ケースが報告されている。 jicrcr.com+1

  • Differences in finished case quality between Invisalign and fixed appliances(2021)

    • クリアアライナー治療後は、歯肉や歯周の衛生面/快適さで有利なことが報告される一方、歯の位置・傾き・噛み合わせの「仕上がりの精密さ(finish quality)」では固定式矯正の方が優れていると結論。 PMC+1

 

 

 

 

それぞれの『得意』と『苦手』

 

 

◎ワイヤー矯正が得意な動き

 

ワイヤー矯正の最大の強みは、歯を根元から動かせること。

=歯体移動、トルクコントロールが可能な点です。

 

 

特に以下のような症例では優れた効果を発揮します。

 

  • 重度の叢生
  • 抜歯を伴う症例
  • 上下顎前歯の前後的なズレが大きい症例
  • 開咬、過蓋咬合
  • 骨格的要因が関与する不正咬合

 

 

開咬

過蓋咬合

 

 

例えば抜歯後のスペース閉鎖では

歯を単純に倒すのではなく

歯根を立てたまま平行移動させる制御が可能です。

 

 

第一小臼歯抜歯

抜歯矯正

 

 

抜歯してできたスペースを使って前歯後退

抜歯矯正

 

 

矯正治療前の側方

上顎前突

 

 

抜歯後半年経過の側方

抜歯矯正

 

 

この歯根レベルの制御こそが

ワイヤー矯正の核心的な強みです。

 

※注意点として

装着時の違和感や疼痛はマウスピース矯正よりも強い傾向にありますが、

素材や設計の進歩により軽減されています。

 

 

 

 

◎マウスピース矯正の得意な動き

 

 

マウスピースは、歯を包み込んで‘‘押す力‘‘で動かす構造をしています。

 

そのため

 

  • 軽度~中等度の歯列不正
  • 前歯の軽い傾斜修正
  • 空隙歯列の改善
  • 抜歯を伴わない矯正
  • 矯正治療後の後戻り修正

 

といったケースに適しています。

 

 

空隙歯列

前歯傾斜

 

 

学術的にも軽度の歯列不正や遠心移動の予測精度が高いことが報告されています。

(Rossini et al., Prog Orthod 2015 / Simon et al., J Orofac Orthop 2014)

 

一方で

 

  • 回転
  • 大きなトルク変化
  • 垂直方向の動き(特に挺出)

 

といった動きは歯の形態によっては

再現性が低下することがあります。

 

 

また、1日20時間以上の装着が前提となるため

患者さんの協力度が治療結果に直結する点にも注意が必要です。

 

 

どちらも歯を動かす『力学的メカニズム』が異なるだけで

 

正しい診断と設計のもとで行えば、どちらも素晴らしい結果が得られます。

 

 

つまり、

『どちらが良いか』ではなく、

『あなたの歯をどう動かしたいか』が選ぶポイントなのです。

 

 

 

 

まとめ

 

 

装置の違いについて説明を受けても

 

「結局自分にはどっちが合ってるの」

 

と迷われる方は少なくありません。

 

 

最後にワイヤー矯正とマウスピース矯正の力学的な違いについて

 

よく質問質問をまとめました。

 

 

 

 

Q1.ワイヤー矯正とマウスピース矯正では、歯の動きはどう違うのですか?

 

 

A.力のかかり方と、歯根への力の伝わり方が大きく異なります。

 

 

ワイヤー矯正は、ブラケットとワイヤーを介して歯を「引いて動かす」

力を利用し、歯根の向きや角度まで三次元的にコントロールできます。

 

一方、マウスピース矯正は歯の表面を包み込み、「押す力」段階的に動かすため

得意な動きと苦手な動きが存在します。

 

 

Q2.なぜワイヤー矯正は、歯根のコントロールに強いと言われているのですか?

 

 

A.歯に直接固定した装置から持続的かつ方向性のある力を加えられるためです。

 

 

ワイヤー矯正では、歯の傾き・回転・高さ・トルク(歯根の角度)を

細かく調整できます。

 

特に抜歯を伴う治療や、噛み合わせの大きな改善では、

歯根事動かす力学設計が重要になります。

 

 

Q3.マウスピース矯正が苦手とされている動きはどのようなものですか?

 

 

A.回転、垂直方向の動き(挺出・圧下)、歯根のコントロールです。

 

 

特に犬歯や小臼歯のように丸い形の歯では、

マウスピースが力を伝えにくく、計画通りに動かないこともあります。

そのため、計画にはリファイメント(追加調整)が必要となります。

 

 

Q4.デジタル設計が進化しても、力学的差は残るのですか?

 

 

A.残ります。設計技術が進歩しても、装置そのものの力学的特性は変わりません。

 

3Dシミレーションにより治療予測は向上していますが、

「どの方向に」「どれだけ」「安定して力を加えられるか」は

装置の構造に強く依存します。

 

そのため全ての症例で、マウスピース矯正が

ワイヤー矯正と同等になるわけではありません。

 

 

Q5.結局、力学的観点からどのように装置を選ぶべきですか?

 

 

A.歯をどの方向に、どの程度、歯根ごと動かす必要があるかで判断します。

 

 

  • 歯の移動量が大きい
  • 歯根の角度調整が必要
  • 噛み合わせを細かく仕上げたい

 

このような場合はワイヤー矯正が適しています。

 

一方で、軽度~中等度の歯列不正や細やかな位置調整であれば

マウスピース矯正でも十分に効果を得られるでしょう。

 

 

 

 

どちらも【万能】ではなく【最適】が人によって異なります。

 

 

骨格や噛み合わせの状態、歯の動かし方、そしてライフスタイル。

 

 

すべてを総合的に見てこそ、あなたに合った矯正法が見えてくるのです。

 

 

 

「ワイヤーかマウスピースか、、、」

それは見た目だけでは決められない、治療設計の選択です。

 

 

私たちは、それぞれの特性を理解した上で

患者さん一人ひとりに合った最善の動かし方を一緒に考えます。

 

 

 

 

 

カウンセリングご希望の方はお電話もしくは公式LINEからご予約受付中です!

 

ご質問もお気軽にどうぞ!

 

 

 

 

 

お問い合わせお待ちしております。

 

 

みずの矯正歯科

TEL:052-981-2211

MAIL:info@mizuno-kyouseishika.com

<診療時間>
平日:10:00~13:00 14:30~19:00
土日:10:00~13:00 14:30~18:00
休診日:月曜、木曜、日曜(隔週)、祝日

 

 

医院名 みずの矯正歯科
住所 〒462-0843
愛知県名古屋市北区田幡2丁目12-14
明治安田生命黒川ビル1階
電話 052-981-2211
診療時間
10:00〜13:00
14:30〜19:00 × ×
14:30〜18:00 × × ×

休診日:月・木・日(隔週)・祝日
※日曜診療は隔週での診療となります。詳しくはお問い合わせください。

Mizuno Orthodontics. ©2026